英国人の鈍い感覚力を揺り動かす為めには、そこに強烈なる刺激を必要とする。故に英国の文学には極度に誇張せられた形容を以て粉飾する必要あり、また耳目に直射する様な色彩的描写、毒気を含む粗野な反語を駆使しなければ、それは英国人に対し何の効果も齎らし得ないのである。街上に於ける広告の如きも何となく間が抜けてゐる。英国では同一の文句を無意味に反復すべき必要があり、外国人ならば倦怠を生ずる様なものなのだが、英国人に対してはそれが普通茶飯事である。……要するにブルドツグと云ひ、或ひはジヨンブルと云ふのは、英国人の遅鈍、重厚、忍耐、粘り気などの特質を象徴したもので、これが英国人の長所ともなり、また短所ともなつてゐるのである。(416-417P)