カンツォニエーレ 俗事詩片 ペトラルカ 名古屋大学出版会 |

ペトラルカ カンツォニエーレ 俗事詩片 名古屋大学出版会 平成4年8月31日 810頁 A5H 12000円 池田廉訳 名古屋大学出版会古典翻訳叢書
Canzoniere ,Francesco Petrarca
縮れ毛の金髪(ブロンド)に 微風(ラウラ)は絡み さわさわ
揺らし いつしか爽やかに離れゆく、
甘美な黄金を ふとかき散らし
やがてもつれて 美しい環を織りなして、
そよ風流れゆく眼もとは 恋の蜂が
刺す処 その痛手 ここにさえ覚えて嘆く。
さ迷いつつも 宝物探すわたし、
おのが影に怯え 足ももたかつかせる獣のように。
ひとときは宝を捜し当てたと思い またときに
遙か遠くと気づき、ときに安堵し ときに気落ちし
憧れに出会い あるいは現実にふと気づいて。
幸せな大気よ いける美しい日射しの
知覚に残るがいい 清らに走る瀬の流れよ
ああなぜに お前と共に この旅路の変えられぬものか?
227 ソネット
かすかなそよ風に金髪をなびかせて、春の訪れを知らせるその艶やかな姿は、古来より美のテーゼであり、ウェルギリウスの『アエネイアス』(1・323)以来の長い伝統を有している。
アエネーイス ウェルギリウス 京都大学学術出版会
このペトラルカの美学に感動し、ポリツィアーノが『スタンツェ』(1・67)で若草の花々を描き、それをモティーフにボッティチェリが『ヴィーナスの誕生』『プリマヴェーラ』で美の女神へ結実させた。
サンドロ・ボッティチェッリの《ウェヌスの誕生》と《春》 アビ・ヴァールブルク ありな


とくにペトラルカは金髪であろうのラウラという女性を全身全霊で愛しており、この一作品はすべてラウラに捧げられたものである。いまだモデルの確定が難航しているも、詩人のモティーフとなるべき優雅なりし女神であったのだろう。
一部二部あわせて366ものソネットとカンツォーネを捧げ尽くしたペトラルカも凄いし、その愛の詩を受け止めたラウラもまた凄いわ。
西洋人が詩の基本書にあげる訳である。
これを読まずに何を読むか。
http://www.italica.it/canzoniere.html
無能な研究者は、ペトラルカがラウラと逢っていない創作などというのは、いったいこの作品の何処を読んでるんだよ。身分違いの愛だが数回はしのび逢っている。
そしてペトラルカは命がけで愛の詩を書いている。
それが一瞬で解らないようなボケナスどもは文藝などなすべきではないわ。
希代の古書コレクター・ペトラルカへの愛であるペトラルキズムにより、禁欲主義的な詩歌や、卑属なる民謡を葬り去りて、苦悩する愛の様式美を神心なる抒情詩によって西欧各国に伝えたのである。
抒情詩とは女神のための神人一体であり、それは神を崇拝する叙事詩との最大の違いである。
目次
凡 例
略語一覧
カンツォニエーレ (第Ⅰ部)
(第Ⅱ部)
大意・評釈・成立年代・影響
解 説
内容
本書は、ヨーロッパの詩的伝統に屹立し、その感情の様式を決定した屈指の古典の、わが国で初めての全訳であり、訳者苦心の訳文と語釈・影響関係等にわたる詳細な訳注によって、その言葉の奥行きと世界的な広がりとを余すところなく伝える読書界待望の労作である。
http://opac.ndl.go.jp/recordid/000002202705/jpn
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/7989379.html
http://www.amazon.co.jp/gp/offer-listing/4815801843/
http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN4-8158-0184-3.html
http://www.youtube.com/watch?v=Jzv0PLnSnR4
http://www.youtube.com/watch?v=PP0TPOSSSoc
http://www.youtube.com/watch?v=zs8XbAh9gmY
http://www.youtube.com/watch?v=YMrM8rr2sBs
http://www.youtube.com/watch?v=-0lT5w7a-Eo
http://www.youtube.com/watch?v=Yj2glto24nA