松岡利勝の自栽 |

東京商工連盟編 国会議員の公約と行動 四谷ラウンド 97年12月18日 1172頁 A5S 2800円
松岡利勝 公約
■社会福祉の充実
■農林水産業・農山漁村の再生
■女性の社会参加
■環境保全
■行政改革の推進
■交通・情報網の基礎整備
(1085P)
松岡利勝議員が自殺した。
食料安保論を提唱した一政治家としての冥福を祈りたい。
わたくしは同時代史としても、
あまりに分かり易すぎる松岡を決して嫌いではない。
同じ伊吹派の魚住汎英相手に公衆の面前において殴り合ったりまことにもって明解である。空手有段者同士の滅多に見られぬ立ち回りも元気のいいオヤジとして印象がある。
勿論、高級官僚や部下たちを殴りつけていたという話も聴く。
立場の強い人士が、弱いバッチなしをぶん殴ってちゃまずいだろうし、
何より見苦しい。
ただし利益誘導型の政治家として役儀は立派に果たしていた。
ホントに何もしない寄りかかったまんまの、
とくに参院におおい職域団体代表議員を除くコアラ型政治家に比べたら、
充分に地元の意見をくみ取る利権というナリワイの責務は果たしたといえよう。
どこの国でも露骨に利益誘導はしているし、それが票田になるのだから、お仕事である。
当然、事業にはお金がかかるし、政治という人材派遣業は、回転資金が必要である。
わたくしは「政治とカネ」という新聞フォームは大嫌いである。
ホストの城咲仁が年収1億(『すべての女が幸せになれる!: 』)だの、
占いの細木が何億もお脳の弱い信者からだまし取ってOKなのが、
資産主義(プロパティズム)である。資本主義はマル系が遣うのでもう遣いたくない。
まことふざけた話だが、こんな下賤の輩ですら、億単位のお金が必用なのである。
ましてや政治家たるものが、億の金を日常的に動かせなくて、天下国家を語れるものか。
かつて、いずれは首相になるだろうと思っていた、
ボクシングチャンピオン中島洋次郎が自殺したこととは、死の意味が違う。
札付きのエリート故に、なんでもない苦境に弱かった。
一般的に、政治家が自決するのは政治生命を失うことのみである。
それ以外の理由などない。
松岡の場合、事務所光熱費が五〇〇万かかった、という虚偽記載(の容疑)は、何のことはない。
ナントカ還元水の本数において、たしかに呑みきれぬ量ではないし、
法律に則った記載をしているのだからどうしょうもない。
ただし、平成十四年分にいたっては、七〇〇万円を超えているので、
さすがに飲みきるにはやや苦しかろうて(松岡 政治資金収支報告書)。
なにより民主党の中井洽(元法相)も光熱費を虚偽記載(の容疑)をしているから、バーター懸案であり別に大した問題ではない。
それに検察の政治捜査らしき、緑資源はたかが七〇〇万円で、
しかも贈収賄ではなく、独占禁止法違反の容疑である。
さらに安倍総理自身が「捜査予定はないと聞いている」(毎日が途中で記事改変した、キャッシュなし)から、つまり検察情報として捜査はしないが、
内偵は勧めているという報告は受けていたわけである。
ならば有罪にはなるだろうが、最高裁まで争えば、誰も覚えてはいやしない。
こんなものは自害の理由にもならない。
真の理由はあきらかに他にある。
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近年、空前絶後ともいえる獰猛な愛国者である小泉純一郎は、
旧橋本派(田中派)という売国勢力に対して、解体は無理でも無数のくさびを打ち込んだ。
小泉は、津島派(旧田中派 平成研)のいわゆる郵政スキーム、道路スキーム、ハンナン・スキーム、同和スキーム、シナODAスキームと、
立て続けにぶち破っていき、その勢力を削いでいった。
これぞ旧弊を脱した本物の行政改革ではある。
しかし一面の事実においては旧来利権と新型利権の激突であり、
国は売らない新しい利権を獲得させたのも実態の一つである。
かつては建設、郵政、厚生、農水みんな田中派のものであって、
大蔵ですらも田中派にやられっぱなしであったのである。
ただし福田の出身母体なので、なんとか文教とともに勢力維持だけははたしていた。
その恨みを小泉政権になって、やっと果たしたのである。
政策上、小泉の位置づけは「旧大蔵省国際派系・親米系もしくは
旧大蔵省銀行局系の開放派」である。
(北岡隆志氏によるhttp://officematsunaga.livedoor.biz/archives/20548068.html)
この理をもった金融スキーム中心の現在利権と、利益誘導型の旧来利権の対決であった。
一般に伊吹派は農業利権と海外インドネシア利権をもっていたと通史は教える。
児玉筋の斡旋もあったが、旧大東亜共栄圏でほぼ唯一共産化していない地域である。
あとはマレーシアのみで残りはすべて、
シナ・ラオス・カンボジア・ビルマ・フィリピンみなアカの手に落ちたから、
インドネシアしかなかったともいえる。
ここでは田中派の旧来型利益誘導の手法を、伊吹派がややまねた部分である。
しかし森派にぶんどられた悔しい想いが、いくつかの政変につながってはいる。
ところがその渦中に於いて一本釣りされた松岡は、
当然、シナ利権をはじめとする旧来利権の代表者の一人であつた。
野中広務、亀井静香、鈴木宗男、二階俊博ら
旧来陣営(つまり売国!)の一人としての松岡利勝である。
これらの支援(橋本派の助力)を受けていた松岡には、
自らその選挙地盤を守らなければならぬ義務も背負っていた。
森派に閣僚入りした松岡には、この時、旧来の在来利権側から、
もはやどちら側につくのか、厳しい選択を迫られたろう。
傀儡パペットになるか、敵エネミーになるのか、どちらかをだ。
そして利益誘導型でありながら大臣として政権の内幕に入り、
旧橋本派の国益を害する過酷な真実をかいまみた松岡は
そのどちらも選べなかったのである。
以上が、情勢としての枠組みである。
くりかえすが、緑資源の資金などは大した金額ではない。
こんなことぐらいで自殺などするものか。
そして、これとあわせて表にだせない資金繰りであろう。
一般に、松岡の借金は十億を越えていたといわれ、追い込みがかかっていたともいわれる。
(松岡利勝農林水産相自殺の背景:現役雑誌記者によるブログ日記!by オフイス・マツナガ
http://officematsunaga.livedoor.biz/archives/50385264.html)
松岡はハンナンを通じて山健組(「しんぶん赤旗2004年4月21日」)、
山広組幹部・山本親一郎氏(『アエラ』06年11月27日号)と実務取引があった。
おそらくはその周辺からの借金であり、追い込みも懸かっていただろう。
たぶん、金儲けの天才・伊吹文明はそれすら知悉していた筈である。
露見すれば自分の派閥の不祥事だし、派閥はカネで守っていける「頼りがいのある男」(関係者談)である。
ひとつだけ彼が宏池会に来賓招待された時の秀逸なパーティ・ジョークをご紹介しよう
「この盛況な様子ではジェラルミンのケースが幾つあっても足りないだろう。有効に使われることとは思うが」パーティーの華-夜討ち朝寝坊日記:イザ!2007/05/21 20:56
なんという露骨なジョークであろうか!
しかしなぜだか、今までの上納金が少なかったのか知らないが、
伊吹派(志帥会)のボスとして今回は松岡を助けなかった。
ことゼニにかけてはあの強欲な「日栄の松田からカネ巻き上げる!!!」
天下の伊吹親分が内情を知らない筈なんぞない、絶対にない。
たぶん志帥会の長として、なんらかの取引が町村派(旧森派・清和会)
とあったとみるのが妥当である。
改造内閣で伊吹派がもう一名入るなどというのは露骨すぎるが、
農業利権の元締めである志帥会が詰め腹きらせた感は否めない。
こういう場合、ことしの始めに派閥争いに敗れ、
志帥会を離脱した島村宜伸( http://www.shimamura-yoshinobu.com/ )
にコメントを求めるべきなのだが、
どこもやっていない様であるのは、まことに残念である。
伊吹派でありながら、なんと平成研という派閥の傀儡として(津島派の草として!)、
町村派の安倍政権の中でどう動くのか、という苦しい最終選択を迫られていたろう。
これはもはや、ほとんど二重スパイのようなものである。
そして総理周辺はそれを分かっていた上で閣僚に黙認したのである。
むさ苦しいほどに男!男!男と、男気の張り合いが伝統美学である
志帥会の魂をもった者には、まこと酷すぎる選択てある。
お公家集団と揶揄される宏池会だったら、
こんなことにはならないが肌があう筈もなかろう。
松岡の顔つきは、当初の頃と、後期の頃とでは、面構えが異なっている。
なぜ、怯えたような慇懃な顔つきで、いつもふてくされたような表情をしているのか。
理由は、恐らくは草、パペットとしてのストレスである。
津島派のスパイをやめたい、けれどそしたら選挙には協力しない、
ガタガタになりそうな後援会割るぞ、別の若い者を熊本三区から出すぞ、
と寄せ手・搦め手で散々脅され、なだめすかされたろう。
そこにきて、さらに裏資金の追い証がかかった。これも辛かった。
せめてどちらか一つだけだったら、こういう結果にはなっていない。
かつてロシア・コネクションの鈴木宗男は、
贈収賄容疑の発覚後にいくつか死ぬなという電話をもらったそうであるが、
松岡の場合、安易に殴りつけたそのむくいは尾鰭のつく嫌な噂話として広まり、
ついには誰も気遣いをしなかったのである。